自分を大事にできなかった、バカなあたし。
自分に大事にされなかった、かわいそうなあたし。
川原さんはイッた後、いつものように財布からお金を取り出し、あたしに差し出した。
「……いらない」
「え?」
「お金、いらないです」
「そ、そう? でも、なんか申しわけないなあ」
そう言いながらも、川原さんは嬉しそうにお金を財布にしまった。
そそくさと川原さんが出て行った後、あたしは鏡台の引き出しを開けた。
無造作に詰め込まれた、一万円札の山。
……ずっと、早く使ってしまいたかった。
あたしは携帯電話を取り出す。
そして、ある番号を押した。
『――もしもし』
男が電話に出たのを確認し、ゆっくりと息を吸った。
「ハヤトを指名で、お願いします」
レオが好きだ。
もう、ごまかしようがなかった。