とても後味の悪い気持ちで、家路についた。
さっき聞いたばかりの話が、頭の中をぐるぐる暴れている。
考え込みながら歩いていると、マンションのエレベーターの前で、客の川原さんにバッタリ会った。
「さくらちゃん!」
「あれ……どうしたんですか?」
「どうしたんですか、じゃないよ! 今日予約してたのに、来てみたら留守だし」
「あ」
すっかり忘れていた。
というか、それどころじゃなかった。
「まあ、こうして会えたし、良かった良かった」
上機嫌の川原さんの腕が、あたしの腰に回される。
どうやら、おとなしく帰ってくれる気はないようだ。
仕方なく部屋に上げると、川原さんはすぐにあたしの服を脱がせた。
あたしは無抵抗で体を開いた。
上でせっせと動く川原さんの汗を浴びながら、ひどくむなしさを感じた。
透明人間になりたい。
レオ、あなたはどんな気持ちで、そう願ったの。
あたしも透明になりたいよ。
けど、こんなに汚い。
黒でしか塗りつぶせない。