筋肉質なタイプや、母性本能をくすぐるタイプ。
カメラ目線で写真に写っている男たちは様々だ。
「ところで成瀬さん、この部屋は何に使うんですか?」
「事務所ですよ。受付兼スタッフの待機室」
「なるほど。広くていい物件見つけましたねえ」
編集者の男はひとしきりほめた後、「じゃあ、また発売日に連絡します!」と駆け足で帰っていった。
新しい壁紙のにおいがする部屋で、成瀬は伸びをする。
雇われ店長から独立し、やっとここまできたのだ。
……ふと、背後に人の気配を感じた。
振り返ると、細い体の線を持った、幼さの残る少年が立っていた。
「……隼人」
「久しぶり、おじさん」
「ああ、久しぶりだな」
「ある人から聞いたよ。俺のお母さんの借金のこと」
成瀬の顔がこわばった。
隼人は男たちの写真を何枚か手に取ると、「ふうん……」とうなずきながら見比べた。
そして
「……ねえ、おじさん」
生意気な瞳で、不敵に笑った。
「俺、この店で働くよ」
おじさんが肩代わりした借金
俺が返してやる――