扉をゆっくり開けると、そこには痛い光景が広がっていた。


いくつものチューブに繋がれて、点滴をして…。



あたしは、思わず颯斗の傍に寄り添った。



「颯斗…」



あたしは、颯斗の手をきつく握りしめた。



「陽奈ちゃん。この前は、楓ちゃんと一緒に責めちゃってゴメンなさいね」


「いえ…気にしてないです」



ホントは凄く気にしてたけど、颯斗のお母さんはいいお母さんだって分かったし。


もし、あたしも颯斗のお母さんみたいな状況におかれたら、同じようなことをすると思うから…。



「楓ちゃんもね…きっと寂しかったのよ」


「寂しいんですか??」



あの…気の強そうな子が??



「楓ちゃんちは、お金持ちだから、欲しいものは何でも手に入れてきたのよ」


「………」



あたしには、考えられない世界だ。



「でも、颯斗の心はそう簡単に手に入れられなかった」


「………」


「だから、きっと寂しかったのよね。楓ちゃんから聞いたんだけど、陽奈ちゃんは一度颯斗をフッたでしょ??」


「…はい」


「自分だったら、絶対にあんなことしないのにって…陽奈ちゃんのこと凄く憎んでたから…」


「…そうですか」