チョコが固まらなくて喚くかもしれないし、うまく出来たなら私に、こう自慢してくるはずだ。

「どう?銀座で売ってるチョコみたいでしょ?」

花音ちゃんはチョコが完成すると、後片付けもせずに、すぐ帰ってしまう。

チョコ作りの痕跡が至る所に遺された台所を見て、私は肩を竦める。

母さんは「何なのあの子?」と、首を傾げるだろう。

そんなはずだと思って私は苦笑いした。

花音ちゃんの行動パターンなら、もう殆どと言っていいほど把握できている。

「やぁね、里子ったら、にやにやしちゃって」