「望み、というわけではありませんが…」



朔夜さんが、目を細め、薄く笑う。



「私を知る、一番の近道を教えて差し上げましょう」



ニヤリ、と笑う。



「私と付き合うことですね」



「付き合う?」



朔夜さんは、悪魔のような笑みを浮かべ、頷いた。



「あとは綾香お嬢様次第です。

……では」



そう言って、私を車に押し込めた。



「またお屋敷で」



窓の外で、丁寧に一礼している朔夜さんを残して、車は走り出した。