「綾香お嬢様?」 朔夜さんの声で、我にかえる。 「あ…ごめんなさい…何?」 聞き取れなかった。 「昨日から、私の口元ばかり見てますね」 バレた… 私は素知らぬ顔で返す。 「そう?いつも笑顔で素敵だなと思って見てた」 「……ありがとうございます」 そう言って、私を見つめる。 ドキン 朔夜さんが、声を出さずに… 『逃がさない』 と言った。