奈津紀が声を荒げて反論してくれた。
「ちょっとあんた、いい加減にしなさいよ!」
朔夜が奈津紀を制し、初美さんに向き直る。
「二度と俺に近づくな。
一度寝たくらいでまとわりつかれても、迷惑なんだよ。
目障りだ」
初美さんの目が、大きく見開かれる。
「朔夜…さん?」
もう、視線すら合わせない。
「うそでしょ……?」
そこまで言って、彼女は朔夜からじりじりと数歩下がった。
全く反応のない朔夜を睨んで、泣きながら走り去って行った。
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