朔夜は初美さんをチラリと一瞥し、 「うざい」 鋭く心臓をえぐり出すような一言を浴びせた。 「ひっどぉい!……クスッ…照れてるの?」 一瞬頬を膨らませ、すぐに目を細めて微笑んだ。 半ば放心状態だった私が、その一言で意識を戻した。 もう……これ以上見たくない。 私は、呆気にとられている奈津紀の腕をとり、そこから一刻も早く遠ざかろうとした。