「珠奈ーー!」 …梓衣があたしを呼ぶ声で、あたしは現実に引き戻された。 「なあに?」 と言って振り返ると、 金髪で重たそうな装備をした梓衣が、 にこにこしながら立っていた。 「どしたの梓衣、そんなニヤけちゃって」 「さっき、王子とすれ違ったんだあ!!」 嬉しそうに自慢してくる梓衣が羨ましい。 あたしはこの世界が嫌で嫌でしょうがないのに―――…