あたしは死ぬ覚悟で
家に帰った。
ふらつく足取りで
リビングを通り過ぎてゆく。
お母さんがキッチンで
夕飯の支度をしていた。
「あら、お帰りなさい。」
あたしは『ただいま』
も言わず
自分の部屋に走った。
お母さんが異変に気づき
タオルで手を拭いて
2階への階段を上がってきた。
お母さんがきた!
はやくしないと!
あたしはベランダに出た。
お母さんが部屋に入ってきた。
「あい!!?」
ベランダの手すりから
飛び降りようとするあたしを見て
お母さんが叫んだ。
「何してるの!?あい!!」
お母さんがあたしを抑えた。
「はなして・・・!
はなしてよっっ!」
「何があったの?あい!」
「あたしは・・・!
たかひろがいなきゃ・・・
生きて・・・行けない・・・」
あたしの力が弱まった。