コーポに着くと弘樹が外で待っていた



美香の姿を見つけ大きく手を振っている



まるで飼い主を見つけた子犬のようだった



『も〜遅いよ〜!』



弘樹は口を尖らせイジけて見せる



『ごめんごめん。中で待っててくれたら良かったのに!』



『だって心配だから…』



美香はその言葉が嬉しかった



今まで近づいて来た男は皆、上辺だけの優しさを散らつかせ下心を覗かせる



弘樹は違った



今まで何回か家に遊びに行ったが美香に手を出そうとしなかった



………