土田さんが小説家だったなんて。しかもあの”ハルキ”!!普段マンガしか読まないわたしが知ってるくらい有名な”ハルキ”。友達曰く、ハルキが書く恋愛小説はバカ売れするらしい。この前とった賞も恋愛小説だったらしいし。
本屋に行けば、ハルキコーナーも設けられているし、レジの前にもハルキの最新作が積まれていた。

も、もしや、わたし、とんでもない人にお世話になっちゃってるんではなかろうか・・・。





「土田さんってあだ名つっちーっぽいです」

「何いきなり」

「ちなみにわたしのあだ名はセン」

「なにゆえ」

「あの有名なアニメーション映画からきてるんです」

「あー、千尋だから?」

「はい。よく『お前の親ブタになってないか?』ってイジメられました・・・遠足の時なんか、わたしおにぎり食べてたら『泣け!泣け!』って。酷くないですか?・・・・・って、何微妙な顔してんですか」

「いや、おにぎり食って泣くシーンなんかあったっけ?」

「ありますよ!おまじないがかかってて!主人公が泣きながらほおばるんですよ!わたしもらい泣きしました」

「へぇー」

「へぇー、じゃないっ!超名作ですよ!?今度レンタルして見てください!」



土田さんは笑いながらチャーハンを作る。
そういえば、この人も名作作ってる人なんだよなぁ。
すごいな・・・。まだ若いのに。
それに比べてわたしは、そんなすごい人に飯作らせて、昔話聞かせて、忙しいのにレンタルして見てくださいだなんて・・・。レンタルってお金かかるのに・・・。

『名作なんだから近いうちにテレビでやりますよ!その時、時間あったらでいいんでちろっと見てみてください!』


くらい言えないのか・・・。ホントわたしって気ぃきかないんだから・・・。