「・・・・・・」

「・・・・・・」


・・・・反応が、ない。

あれ?


「ちょ、お嬢さん、反応は?なんかないの」

「え、いや、あの、まじですか」

「大まじですよ」

「聞いても平気ですか?」

「どーぞ」

「売れてます?」


いきなりすぎる。


「・・・・・おま、躊躇うとかしねーのな」

「平気ですかって聞いたじゃないですか!」

「あー・・・・・ぼちぼち、かな」

「そうなんですか・・・あのペンネームとかって聞いていいんですかね」

「ん、カタカナで”ハルキ”」

どーせ知らないだろ、と付け足そうとしたとき、ガチャンと音がした。
雨野のスプーンが皿の上に落ちた音だった。

「おい、どうかし…」

「ハルキですか?」

「あぁ、うん」

「それってこの前、なんとか賞とってませんでした?」

「うん、とったねぇ」

「ぼっ!!ぼちぼち違うよ!売れっ子じゃん!」

「あーもーうるさーい。言うんじゃなかった」

「おめでとうございます!本買いマス!」


「・・・・あのな、言うの忘れてたけど、俺が小説家っつーのは大家さんとお前しか知らないから。内緒だから。絶対学校とかで言いふらすなよ」

「はい!」




・・・・・大丈夫だろうか。
まぁ、これでこそこそ仕事しなくて済むな。