「連絡はきちんと受け取ったのだろうな?」
 
「もちろんでございます。
 お目付け役兼世話係りの者も、ご用意しております」
 
 
 高慢な物言いの男の確認に、老人は頭を下げたまま抑揚なく答える。
 
 
「……ふん。ファイアルのものか」
 
 
 男は、少し離れた位置で下を向いている青年を見て、おかしそうに嘲笑う。
 
 
「……お気に召しませんか?」
 
 
 老人が、遠慮がちに訊ねた。
 
 
「いや。あれが最適だ。
 こやつには、もっともふさわしい」
 
 
 男はパチンと指を鳴らし、馬車を操っていた従者に中のものを出させる。
 
 中肉中背の従者に抱えられて降ろされたのは、とても大きく重そうな粗袋だった。
 
 それを、従者は丁寧に置く。
 
 
 
「わかっているな?
 あとはまかせたぞ」
 
 
 それを冷めた目で見てから、男は視線をあわせず老人に一方的に言い、足早と屋敷の中に入っていった。
 
 召使のものに囲まれ、扉が閉まり姿を消す。
 
 馬車も、荷を下ろした従者によって馬車置場に向かう。