遅刻しそうなのか慌てていて、昨日私が頼んでいた電話帳を玄関に置き
「学校終わったら来るから!」
と言って。
駅の方に目を向けると、リョウが走って駅のホームに向かっているのが見えた。



今日は、実家から少々の生活に必要な物が送られてくる。
その前に部屋の掃除をした。タイミング良く荷物が届いた。布団と食器類が送られてきた。その中に母からの手紙が入っていた。
《布団類と家で使わない食器類を送ります。頑張りなさい》
短いけれど母の気持ちがいっぱい詰まっている手紙のように感じた。


母の手紙に勇気付けられた私。朝リョウの持ってきた電話帳と携帯を準備する。
その頃の私は人生経験が薄すぎて職安を知りませんでした。
無い頭で考え付いた仕事探し。それが電話帳を見て片っ端から電話することだった。
車のない私の行動範囲は狭い。自転車で通える範囲の仕事を探す。
良さそうな所を見つけては
「お聞きしたいんですけれど、そちらでアルバイトの募集か何かありませんでしょうか?」
を繰り返す。近くのスーパーやガソリンスタンドは全滅だった。
ダメ元でかけた本屋さん…面接してくれることになった。
一安心した私…気付いたらもう夕方だった。