「…………」









事態についていくのは難色を示していた。

とりあえず、彼の話をまとめてみる。





少年の名はヒグラシ。

彼いわく、彼はこの世界を『裏返した』世界から来たらしい。


こちらの世界で神隠しに遭った子供は、彼のいた世界へ行く。


"神隠し先の世界"と言う事で良さそうだ。




それは彼のようにこちらに来てしまったその世界の住人達は、こちらの子供を伴わないと神隠しに遭遇出来ないからで、神隠しに遭遇出来ない事には、向こうに還る事が出来ないからなのだそうだ。






つまり、である。




「…僕は神隠しに遭う対象として君に選ばれたわけだね?」

「相性ってもんがあるんだ。
相性がよくないとこの世界のやつらは俺達を認識出来ない」






ってことは僕が彼の呼びかけに反応を示した時点で目をつけられていたわけだ。


「あの質問は?」

「たいした意味はない」



そして彼はまたしてもくしゃりとその顔を歪めて笑う。