町と言うよりは村と言うのが合うような風景はなかなか好みだった。

でも大概好みでも絵にする気にはなれない。
春や夏は特に。


しばらくあてもなくふらふらと巡ったところ、山道に入って帰路の発見が難しくなった。

要するに迷った。



「………参ったな。」



思わず呟いてみたけどそんなに重大には考えてない。
前にもこんなことは何回かあった。


とりあえず山道を降りて近所の家の人に道を聞こうと決めて来た道を戻った。


   りん  


少し歩いたか歩いていないかくらいのところでこの時期によく聴く音色を聴いた気がして辺りを見回した。

道から少し離れた茂みにやっと判別出来るくらいの道を見つけた。
音はそっちから聞こえるようだった。


…―こんな道、さっきあったかな?―…

さっきは見逃したんだろう、もしかしたら人がいるかも。

僕は小道に入った。