風理の教えてくれた道を行くと、すぐに道に出た。
林を抜けた瞬間の夕日に面食らう。

風理のところにいた時から5分もしてなかったはずなのに。

道の突き当たりに家を見つけた。門を通って玄関に着くと晃矢がどたどたと走って出迎えた。


「おじさん!!泰斗帰って来たよ!」

奥の台所から耕平伯父さんが顔を出してほっとしたように笑った。

「あぁほんとだ。随分歩いて来たんだなぁ。」

心配したんだぞ。とは言わない。けど明らかに心配していた様子だった。

いつもの事だけど、伯父さんは気持ちを押し付けるような事はしない。
僕が唯一心を開く人だった。

「ちょっと…迷ったから遅くなっちゃったんだ…ごめんなさい。」

そう言って頭を下げると伯父さんは慌てたように顔を上げさせた。

「良いんだ良いんだ。こうして無事に帰って来てるんだから。若い内は色んな物を見て置いて、色んな事を感じると良いんだ。」


伯父さんはいつもの様に優しく笑った。
晩飯にしよう、もうできてるよ。と言いながら伯父さんは奥に入って行った。