佐々木からあぐりを紹介されて幾日かたったある日。
その日の京もうだる様な暑さだった。
「暑いですねぇ…」
林の呟きに、縁側で水を張った桶に足を浸けていた優真も賛同せずにはいられない。
(クーラーもない、扇風機さえもない。今思えば便利な時代だったな……。少し暑いと思えば部屋のクーラー入れてアイス食べたり…)
優真の中で平成の世が完全に過去の事となっている。いや、それよりも自分が平成という時代に本当に存在していたのか、という気さえ最近はしてくる。
そして最終的に、いやいや確かに自分は平成の人間なんだ、との結論に至るのだ。
「何処に行くんですか?」
突然濡れた足を綺麗に拭き立ち上がった優真に、林は怪訝な表情を見せた。
「お茶を貰いに、信太郎もいる?」
「それなら僕が…」
「いいからいいから。いるの?いらないの?」
「あっ、……いります」
立ち上がろうとした林の肩を押さえ座らせた優真は有無を言わせない口調で訊いた。
さっさと台所へ行く優真の後ろ姿を見つめ林は、
「…肩痛い…先生、力強いです…」
ポツリと洩らした。
その日の京もうだる様な暑さだった。
「暑いですねぇ…」
林の呟きに、縁側で水を張った桶に足を浸けていた優真も賛同せずにはいられない。
(クーラーもない、扇風機さえもない。今思えば便利な時代だったな……。少し暑いと思えば部屋のクーラー入れてアイス食べたり…)
優真の中で平成の世が完全に過去の事となっている。いや、それよりも自分が平成という時代に本当に存在していたのか、という気さえ最近はしてくる。
そして最終的に、いやいや確かに自分は平成の人間なんだ、との結論に至るのだ。
「何処に行くんですか?」
突然濡れた足を綺麗に拭き立ち上がった優真に、林は怪訝な表情を見せた。
「お茶を貰いに、信太郎もいる?」
「それなら僕が…」
「いいからいいから。いるの?いらないの?」
「あっ、……いります」
立ち上がろうとした林の肩を押さえ座らせた優真は有無を言わせない口調で訊いた。
さっさと台所へ行く優真の後ろ姿を見つめ林は、
「…肩痛い…先生、力強いです…」
ポツリと洩らした。