「営業停止七日間ね…」


優真は永倉と別れ、道場への道をゆっくりと歩きながら、ぼそりと呟いた。



先程の永倉の話──。


 “芹沢さんが暴れた挙句、店に七日間の営業停止を申し付けたんだよ”


そのことが優真の頭の中を埋め尽くす。



「ただの会津藩預かりの浪士組の筆頭局長がここまでするなんてね」


しみじみと言う優真。

暴れられたうえに営業停止を申し付けられた店側はいい迷惑だろう。優真は運悪く芹沢の酒宴の場となった店に同情せずにはいられなかった。




「──ぅ…っ!」




ぼーっと思考に耽っていた優真は気配に全く気付かなかった。


しまった、と思った時には事は進んでおり…。




突然誰かの手によって、部屋に引きずりこまれた優真は必死に藻掻くも、後ろから抱き込まれ口にはごつごつとした男独特の手で優真が声を出さないよう抑えられては、どうしようもない。


「…っ…ぅぅ……っ」


声を出そうとするが、男は更に手を強く抑えつける。


優真は後悔した。


あんなに夜も注意を払っていたのに、朝だから、とつい気を抜いていたことを。


そして、寝不足だった優真は気配や相手の動きに即座に反応出来なかったことを。