バンッ



「おい、平助知ら……………お、おめぇら、何してんだ!?」



障子がガタガタと振動する程の大声に優真と藤堂は何事かと振り向く。

そこには眼前に広がる光景に開いた口が塞がらない原田の姿があった。


芹沢の酒宴に行かなければならない時刻というのに、藤堂が見当たらないことに気付いた原田は優真の部屋に来たのはいいが、


(…もしかして平助と優真はそういう仲なのか!?)


原田は完全に誤解をしていた。

だが、それは無理もないだろう。



部屋に寄り添う二人の男女。

互いの顔は近く、男は女の顔に手を添えている。



優真が女だと知っている原田は、この今にも口付けをしそうな状況に大いに焦る。


「お、お邪魔しました!」


そう言って襖を閉めずに原田は大きな足音をたてて走り去って行く。

遠くで「新八〜!大変だー!」と原田の大声が聞こえた。





「はぁ……、ややこしいことに」

「う〜ん?まぁ、いいじゃん」

「………はぁー」


藤堂の気の抜けた返事に優真は本日最大の深い溜息を吐いたのだった。