ガシッと、優真の頬に包み込むように両手を添える藤堂。

何をするのか、優真の頭は疑問符の嵐だ。



 ぶにゅ



突然、唖然としている優真の顔が潰れた。


ぶにゅっ、と。


それはもう、面白いくらいに。



藤堂はその優真の顔が面白いのか、クスクスと笑いながらグリグリと両手で優真の頬を押すように撫で廻す。


暫く言い様にされていた優真だったが、すぐにハッとすると抵抗し始めた。



「何をやってるのかな…、平助君…」

「いやいや、疲れた顔してたからさ。…それに最近寝てないんじゃない?隈が凄いよ」

「そうですねぇー」

「眠れない理由でもあるわけ?」

「いや……うっ!」



そういうわけじゃない、と言おうとした優真にそれを遮るように藤堂は更に強く優真の頬を押した。

優真は目だけで、何するの、と藤堂に訴える。それを見て藤堂はわざとらしく「はぁ〜…」と盛大な溜息をついた。


「あのね、何かあることくらい分かるから。どんだけ一緒にいると思ってんの」


優真は自分から言わないから、と言いながら手を緩めた藤堂はニヤリと笑った。

そんな藤堂に優真もフッと笑みを洩らすと最近誰かに見られている、と話す。

それを聞いた藤堂の表情は瞬時に変わった。



「…それは厄介なことになったね。心当たりは?」

「誰なのか全く、だから夜も眠れないんだよね」

「うーん…僕もなるべく優真の側にいるようにするよ。何かあってからじゃ遅いし、相手の目的も分からないからね」

「それはいい。自分の身は自分で護れる」

「だーめ、これは決定事項」



そう言って再びグリグリとし始める藤堂に何を言っても無駄だと思ったのか、優真は諦めたようにされるがままになっていた。