急がなくては…!
やっぱり先生の事が心配です!
信太郎は大広間を出た後、平隊士が雑魚寝をしている部屋まで行くと外出する支度をして屯所の裏門へと向かった。
勿論、優真を迎えに行く為だ。
芹沢達の悪行は信太郎の耳にも入ってきている。それを知っていて優真一人を行かせた事を信太郎は後悔していた。
ましてや女だとバレかけてる今、非常に嫌な予感がする。
他の者に気付かれないよう足音をたてずに裏門へ着いた信太郎は、ふぅーと安堵の息を漏らした。
今のところ、誰とも会っていない。
さっ、早く行かないと。
待ってて下さい、先生!
裏門を出ようと一歩を踏み出した時、信太郎は門の前に佇む人物に気付いた。
「──斎藤さん…」