5限目は米田というタテ巻きカールの女先生(三十路過ぎ)の英語だった。

あたしはチラリとキクチ・ヨーコのほうを見てみるけど、彼女はお人形さんのように表情ひとつ変えずにテキストを見ていた。


“どうしたんだろう、ロム…”

不意にイヤなイメージが頭に浮かんだ。

“ひょっとして飛び降り自殺とか……してないよね……?”

そんなことあるはずない、って否定すればするほど、ますます不安になって、気持ちばかりが焦ってしまう。

あたし的にはかわいいロムのためにひと肌脱いで、恋のキューピットになってあげたつもりだった。

だけどロムを喜ばせようとしてやったことが、逆にロムを深く傷つけることになってしまった。

こうなってみると、あたしはなんておせっかいなことをしてしまったんだろうと、強い後悔の念に胸がギュウギュウと締め付けられるようだった。


「先生、あたし、ロムを……古内くんを探してきます!」


「待って、授業中よっ」