「なんでロムはそんなことしてるの?」

「知らない」

そっけない言い方だった。

「あたし、最近、古内くんと……いや、クラスの誰とも話してないし……」

そう言ってうつむく彼女。

「え……なんでクラスの誰とも?」



「愛ちゃん、“トイレのイサミさん”には近づかないほうがいいぜぃ」



突然、あたしたちの会話に割って入るアナンってヤツ。

「と、トイレのイサミさん…?」

“トイレの花子さん”なら聞いたことあるけど……。

「近づくとバッチイ“イサミ菌”が移っちゃうよ」

すると、思いつめたような表情で“ガタッ”と突然、席を立ちあがると、教室を飛び出していってしまうユー。

“どうしたんだろう?”とあたしは思った。

小学生の頃の彼女なら、こんなとき黙ってなんかいないはず。