「みんな、なんで感動しないの!? だってさ、いま、ボク、大昔の人間が触ってた石器をコノ手で触ってんだよ! コレって、そーとーすごくない?」

…って目をキラキラさせながら興奮気味に話していたのを今でも覚えてる。

一瞬、“ヘンなヤツぅ”と思わなくもなかったけど、済んだ瞳がなんかイイ感じで、“コイツ、可愛い”って、胸がちょっぴりトキめいた。


帰り道で、こんなことも言ってたっけ……。

「ボク、将来はエライ考古学者になって、化石に自分の名前を付けるんだ」

「化石に自分の名前を付ける…?」

「知らないの? 新種の化石を発見したら、その人の名前が付くんだよ」

「え、じゃあ、あたしが発見したら“クリスなんとか”って名前の恐竜になる、ってコト?」

「そーだよ。世界中で永久にそのヒトの名前が使われるのさ」

考古学にも恐竜にもまったく興味のないあたしだったけど、“世界中”とか“永久”なんていうスケールの大きいキーワードに、カラダが敏感に反応して鳥肌が立ちそうだった。

「なんか超すごくない!?」

「だろ? だから考古学者になって、化石に自分の名前を付けるのがボクの夢なんだよ」