「ロム、おべんと付けてどこ行くの♪」

…なんて言いながら、ヒョイとごはんつぶをつまみ取っては、なんの躊躇もなく自分のクチに入れてたもんだ。

あたしはひとりっ子だったから、世話が焼けるってゆーか、なんかほっとけない感じのロムのことを、まるで弟ができたみたいに喜んで可愛がってた。

同い年なのに年下みたいで…、

友達なのに弟みたいで…、

ロムのことを“あたしがついてないとダメなんだ”って思っちゃうのは、もしかして、小学生にして、あたしの中の母性本能がくすぐられていたからなのかもしれない。


クリッとした黒目がちな瞳が、まるで柴犬の子犬みたいで可愛いヤツ。


そんなロムのことでイチバン思い出に残ってることっていったら、やっぱし4年の遠足のときのことかな?

遠足で山にいったとき、偶然、担任の先生が古代人の石器(磨製石器っていうらしい)を発見したんだけど、考古学になんの興味もないあたしたちはシラ~っとしていた。

だって、どう見ても、興味のない人にはタダの石っコロにしか見えなかったし……。


そんな中、ロムひとりだけがソノ石器を両手で大事そうに握り締めて…、