それだけに平然と親に対してウソをついてしまったことに胸が痛んだ。
「あのさ、ママ、今ユーとライブの話でスゴク盛り上がっててさ……だから今夜はこのままユーんちに泊まろうと思うんだけど」
「そう。まぁ、遅くなって家まで帰ってくるよりは、ユーちゃんちに泊めてもらったほうがママも安心だわ。分かってると思うけど、彼女のお父さん、すごく厳しい人だから、くれぐれも迷惑かけないようにね」
「うん、分かってる。じゃね」
これ以上、親にウソをつき続けることに、さすがに罪の意識を感じたあたしは早々に電話を切ってしまった。
「そうだな…」
横からアシくんが言った。
「今夜はもう遅いから焼き肉喰ったら、そのユーってコんちに泊めてもらうといい」
「0時になったら死ぬあたしに泊まる場所なんていらないよ。それより早く電車こないかな? あたし、もうおなかペコペコだよ」
駅のホームで背伸びをして、線路の先のほうを見るあたし。
そのとき、ふと気が付いた。今夜0時に死ぬってことは、さっきのがママと話した最後になるんだってことに―――――