「好きにしてくれ…」

“もう、どーでもいい”ってカンジの彼。


「じゃ、時間もったいないし早速デートしよっか?」

時計代わりのケータイを“パカッ”と開く。

「今、PM4時12分か……」

そのとき、ケータイ画面の表示で、電池の残量が残り少なくなってるのに気がついたけど、たぶんあと8時間くらいなら大丈夫だろうと、さして気にもとめなかった。

「AM0時まで残り約8時間、残された余命をめいっぱい使って、あたしの生まれて最初で最後のデートを楽しんじゃお~っ♪♪」

多くの買い物客たちで賑わう土曜日の池袋の空に、グーにした右の手を高らかと突き挙げるあたし。その拍子にセーラー服の上着とスカートの隙間からおヘソが顔を出す。

「お前さ、このクソ寒いのに、そんなカッコでハラとか壊したりしねぇワケ?」

「おしゃれのためなら鳥肌立ってもno problem(ノー・プロブレム)だよ~♪」

上々機嫌のあたしはアシくんの手を引っ張ってJR山の手線に駆け込むと、まずは原宿へと向かうことにした。


こうしてあたしのadventure(アドベンチャー=冒険)……いや、17年間の人生で、最初で最後のデートがはじまった――――