なんか、学芸会のお芝居みたいな泣きマネだと自分でも思うけど、それでもやめるわけにはいかないんだ。

「だーかーら、ウソ泣きはやめろってっ」

「だって、あたしの言うこと、ちっとも信じてくれないし…エ~ン……」

「分かった、分かった!」

そう言いながらも、あからさまに迷惑そうな顔をしている。

ちょっと、ちょっと。天下の女子高生サマからのデートのお誘いだよ。もっと嬉しそうな顔をしてもいいんじゃないの?

「じゃあ、信じてくれるんだ♪ 当然デートのほうもOKだよね♪」

「でもな、俺、まだアシスタントの身分だから、そう簡単には早退とかさせてもらえないんだよな…」

彼の立場はちゃんと考えてる。

「デートさえしてくれるんなら、早退の件はあたしがなんとかしてあげるよ♪」

「え? どうやって?」

「それは後のお楽しみぃ♪」

「じゃあ、とりあえず早いとこ、俺の痴漢容疑を解いてくれよ」

「うん、分かった♪」

あたしはこの後、大声で続けた。