「今日の仕事は早退して、この後、あたしとデートして…シクシク」


上目づかいに彼を見て、おねだりするあたし。

「なにバカなこと言ってんだよっ。俺は社会人なんだぞっ。お気楽女子高生と一緒にするなっ」

「お気楽じゃないしっ! もうすぐ死んじゃうから、死ぬ前に一度でいいから男の人とデートがしてみたかったんだもん!」

「やれやれ……じゃあ、明後日は? 俺、明後日は仕事が休みだから、その日ならデートしてやるよ」

「今日じゃなきゃダメ!」

「なんで?」



「だって、あたしの余命……今夜午前0時までだから」



「なにソレ? フツーは“余命1ヶ月”とかって言うんじゃね? 余命が“午前0時まで”って、えっれぇ短かすぎじゃね?」

「だって、そーいう病気なんだから仕方ないじゃん…」

「そんな病気、聞いたことがねぇ」

「エ~ン…」