「………」

そのとたん、あたしの頭に不安がよぎって、全身にイヤなカンジの汗がイッキに出てくるのを感じた。

もしかして、どこからか監視でもしていて、あたしが待ち合わせをすっぽかしたのがキクチ・ヨーコにバレたんだと直感したからだ。

立ち止まって、恐る恐るポケットからケータイを取り出してみると、それは意外にもキクチ・ヨーコからの電話ではなく、ユーからのソレだった。

だけどユーはもうあたしの知ってるユーじゃない。

友達じゃない。

キクチ・ヨーコの言いなりになって、あたしが着替えてるところを盗撮までしたあのオンナのグルだ。敵だ。

だとしたら、ユーがあのオンナの代理人として、あたしにclaim(クレーム)でも付けようってことだと思う。


ビィーン、ビィーン…


電話に出たところで、ユーに何を言われるのかは分かっていた。


ビィーン、ビィーン…