あたしの歩みは止まらずに、とうとう池袋駅の構内をあとにしてしまう。



今ならまだ、ここで踵(きびす)を返して“いけふくろう”のほうに戻れば、余裕で待ち合わせの時間には間に合う。

だけど、あたしは後戻りはしない。

立ち止まることもできない。

その結果、どうなるのかはもちろん分かってた。

だけど、戻れない。

進むしかなかった。

立ち止まると、目に見えない何かに追い付かれてしまいそうで…そして、その瞬間、すべてが終わってしまうようで怖かったんだ。

いや、本当に終わりがくるんだとしたら、それはあたしが約束をすっぱかして、行く宛もないのにスタスタと歩き続けているのが原因だと思う。

だけど、もうこの時点ですでに確定していると言ってもいいのかもしれない。

これで……キクチ・ヨーコが伝言ダイヤルで見つけてきた男の人とホテルに行かなかったことで、ネット上にあたしの恥ずかしい画像がバラまかれることになるってことは、たぶんもう確定してしまったんだと思う。

分かってるけど…、