10時、11時、12時…

ほんの1秒だって同じ場所にとどまることを決してしない時計の針が、律儀に、真面目に、せわしなくあたしを追い立て、そして1秒ごとに確実にあたしの心を逃げ場のない崖っぷちへとどんどん追い詰めていく……。



PM12:22――

お昼ゴハンも食べる気になれなかったあたしは、土曜日で学校はお休みだったけど、いつもと同じ制服姿で、家族に「行ってきます」も言わずに自宅をあとにした。

別に、見ず知らずの人と寝ることへの覚悟ができたからってわけじゃない。

いてもたってもいられないってゆーか、とてもじゃないけど家でじっとしてなんかいられないような気分だったからだ。

それにあたしが高校の制服を着て出掛けたのは、制服をある種の“防弾チョッキ”として使おうという狙いがあったからだ。

18歳未満の相手とそーいう関係になれば条例違反のpenalty(ペナルティ=処罰)が相手には課せられることになるんだけど、このとき制服を着用していれば、相手に「18歳未満だと知らずに関係を持った」と言い逃れをさせることができなくなる。

つまり一目瞭然、18歳未満だということをあからさまにしていれば、相手もうかつには手を出さないと思ったし、万一の場合も自分の身を守ることができると思ったんだ。