「………」

「でも、天はあたしを見捨てなかった。まさかあれから7年経って、あなたが日本に帰ってくるなんて夢にも思わなかったもの」

「あの…菊池さん、今さら謝っても許してもらえないのかもしれないけど、でも、ちゃんと謝らせて……あのときはごめんなさい……あたしのひとことがそんなにあなたを傷つけてるなんて、あたし全然気が付かなかった」

「ま、あのときは無邪気な子供が言ったことだし、あたしもオトナになって許してあげてもいいんだけど、でも……」

「でも…?」

「しばらくはアノ画像を最大限に利用させてもらって、気が済むまで、栗栖さんには操り人形になってもらうから覚悟しといて。アノ画像をあたしが握ってるかぎり、あなたはあたしにゼッタイ逆らえない」

「や、やめて、お願いだから、もう許して」

「だから、しばらくしたら許してあげる、って。ま、そーいうことで、近いうちに指令を送るから。じゃね、バイバイ」

「あ、待ってっ…」

でも、そのときすでに彼女は一方的に電話を切ってしまっていた。


それからというもの、どんな無理難題を言われることになるのかと思うと、あたしは不安で眠れない夜を重ねるしかなかった―――