さすがにチーコはあいさつを返してくれたけど、すぐに目を逸らして、向こうに行ってしまった。

教室の空気がこんなに寒々しく冷え冷えとしているのは、今がまだ2月だからというわけじゃないと思う。

「クシュン…」

精神的にも肉体的にも、肌寒さを感じてクシャミをしてしまったあたしに…、

「愛ちゃん、このクソ寒いのに、今朝もヘソ出し、ナマ足かい?」

…とアナンが話しかけてきた。

「アンタ、帯刀先生の回し者? 風紀委員でもないアンタなんかに、あたしのファッションのことで、どうこう言われたくないわ。これがあたしのpolicy(ポリシー)でありidentity(アイデンティティ)なのよ」

「まぁ、俺的には肌の露出が多いほうが“目の保養”になるから全然かまわねぇんだけどな。それより愛ちゃん、今度はいつが空いてる? 俺も予約入れてほしいんだけど」

「予約って、なんの?」

「デート♪」

ニンマリ顔のアナン。

「なんで、あたしがアナンなんかとデートしないといけないのよ」

「だって愛ちゃん、誰とでもデートする…」