まさか、あたしがこんなことを言い出すとは思ってもみなかった、ってカンジだ。
「ひょっとしたらロムはいつまででも、お菊のことを待ち続けるつもりでいるのかもしれないけど、あたしなら、そんなのムリ。だって、いくら想っても振り向いてくれない相手よりは、自分のことをちゃんと想ってくれるヒトと付き合ったほうが絶対イイし」
そのとき自動車用の信号が黄色になった。
「今ならまだ間に合うよ。道を引き返して、あたしのところにおいでよ」
そして信号が赤になった。
「ねぇ、いいの? あたしがデカ島に盗られても。あとで悔しがっても、もう遅いんだからね」
代わって歩行者用信号が青になる。
「いいよ……」
そう言って、ロムは自転車を発進させた。
「今なんて言った?」
「“いいよ”って言ったんだ」
聞き間違いであってほしかった。
「振り向いてもらえない相手を想い続けることの辛さは、俺が一番よく分かってるつもりだから……だからクリスにはそんな想いをさせたくない」
「ひょっとしたらロムはいつまででも、お菊のことを待ち続けるつもりでいるのかもしれないけど、あたしなら、そんなのムリ。だって、いくら想っても振り向いてくれない相手よりは、自分のことをちゃんと想ってくれるヒトと付き合ったほうが絶対イイし」
そのとき自動車用の信号が黄色になった。
「今ならまだ間に合うよ。道を引き返して、あたしのところにおいでよ」
そして信号が赤になった。
「ねぇ、いいの? あたしがデカ島に盗られても。あとで悔しがっても、もう遅いんだからね」
代わって歩行者用信号が青になる。
「いいよ……」
そう言って、ロムは自転車を発進させた。
「今なんて言った?」
「“いいよ”って言ったんだ」
聞き間違いであってほしかった。
「振り向いてもらえない相手を想い続けることの辛さは、俺が一番よく分かってるつもりだから……だからクリスにはそんな想いをさせたくない」