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通勤するサラリーマンや通学する学生たちの群れが点々とつながる歩道の脇を、ロムとあたしを乗せた1台の自転車が、すぅーっと風を切って滑るように走り抜けていく。


通りすがりの中学生らしきコ……特に女子が、自転車に二人乗りのあたしたちを見て、うらやましそうにしてるのが分かる。

自転車の後ろに乗っけてもらって通学するのって、女のコなら誰だって憧れるよね? あたしも同じだった。


「ねぇ、ロム? みんなあたしたちのこと見て、どんなふうに思ってるのかな?」

「………」

彼は無言でペダルをこぎ続けている。

「返事…したくなかったらしなくてもいいよ。あたし的には話を聞いてもらえるだけでいい……ホント、それだけでいいから……」

そのために今朝は早起きして、そして自分で自転車をパンクさせたんだから。

「あたし、ロムのこと、弟みたいとは思ってないから……少なくとも今はもう」

「………」