「隠しててもわかることだから
おまえ大丈夫だよな。
奈楠ちゃんに会う時まで
少し考えられるだろう?」


心臓がバクついた。


「なにかあったのか?」


「奈楠、妊娠してる。
6か月くらいになってる。」


俺は頭が一瞬真白になった。


「え?なんて?」



「妊娠してるんだ。」
素良が悔しそうに言った。


奈楠の叔父が

壁を叩いた。



「なんで・・・・
そんなことに・・・・・
みんな姉さんのせいだ・・・・」


俺は涙も出なかった。


何度も何度も
素良の言葉を
頭の中でリピートさせた。


妊娠


林の子供


妊娠


林の子供


奈楠の絶望した顔が
浮かんだ。
毛布をしっかり握りしめた指

俺を必死に拒否した顔

知られたくない



奈楠の泣き顔が
俺の心を深くえぐり刺した。