「わかったよ。
送って行くよ。
車の中でもいっぱい泣いていいから。
まだ、まだ
泣ける時間あるよ。
止まらなかったら
寄り道してあげるから・・・」


「ね?亜恋、そうして?
彼だってやっぱり笑っていたい
だから亜恋には
泣かないでほしいと思うの。
亜恋が泣いたら
きっと彼の心も折れると思うから」


「うん。
そうだよね。
よかった、奈楠と会って・・・
誰にも話せなくて
ずっとずっと辛かったの・・・・
私は一人だから
奈楠しか友達いないし・・・・
泣かせてくれる胸も
もう・・・ないの・・・・・」



奈楠と強く抱き合った。


そして

「あ、携帯あるんだった。
アドレス交換して~
忘れるとこだった。」
亜恋はあわてて携帯を出した。


「これでいつでも話せるね。」

奈楠もとても喜んだ。


車の中で・・・ずっと亜恋は泣いていた。
後ろの座席で
泣く亜恋を見ながら
胸が押しつぶされそうだった。


  俺はこんなに強くなれるか?


奈楠に気づかれないように
泣くことができるんだろうか
泣けないつらさ
心をかくして
微笑む亜恋はすごいと思った。


泣き声は俺の心に響く



小樽の街が広がってきた。



「もうすぐだと思うよ。」


「はい。」
亜恋は涙をぬぐった。


「お互い頑張ろうな。」
そう声をかけるしかなかった。