「ばかだな。おまえには関係ない。
ただ、おまえに抱きしめられて
なんかさ、楽になった。
よくこうして抱きしめてもらった。
いや、俺が抱きしめた。
つらい時もうれしい時も
おまえを抱き締めると
なんか癒されたんだ。」


「そうね、こうしてよく
抱きしめていたね。
あの頃は、まだお互い若かったね。」


「ほんとだな~
だっておまえお母さんになるんだもんな。
俺・・・おまえの子供に
なりたい・・・・
幸せになれそうな気がする。」


「や~よ。
こんな女ったらしなんて
親は慰謝料払い続けるでしょう。」


あははは・・・・


二人で大笑いした。



「歩来・・・
愛してた・・・よ・・・・
すごく・・・たくさん・・・・」


歩来の顔が見えないことを
いいことに衝動的に言った。


「私も・・・
愛してたよ・・・・
素良には、ちょっとかなわなかったけど。」



「ちょっとって?」


「小指くらい・・・かな~」


「すげーなげー小指だな~」




「サンキュー歩来・・・・」


俺は歩来から体を放して
まっすぐ見つめた。


「お互い一緒に幸せになろうね~」


歩来が笑った。
この笑顔が俺の全てだった