*゚。桃護Side。゚*

彼に話していいのかよくわからなかった。

確かに、アズにぃは幼なじみだ。

リコ姉ちゃんや両親には話せない悩み事は、いつもアズにぃに打ち明けていた。

俺からして見れば、彼は兄貴みたいな存在だった。

けど、今の気持ちをアズにぃに話していいのかどうかわからなかった。

ジリジリするような、もどかしいようなこの気持ちが何なのかよくわからない。

「好きなヤツがいるんだろ?」

アズにぃが言った。

「石楠花先生だっけか?

彼女が好きなんだろ?」

言い聞かせるように、静かにアズにぃが言った。

「…そうなの?」

呟くように返事をした俺に、
「お前、どんだけ鈍感なの?」

アズにぃは額を手に当てると呆れたように言った。