おじいちゃんは僕が玄関に放り込むようにして置いた荷物を持つと母さんとおばあちゃんが談笑している部屋に入っていった。


「お前達!!水月一人に働かせて何をしゃべくっとるんだ!!ばかもんが!!」


家が揺れるほどの怒声に僕は驚いた。なるほど地震、雷、火事、親父とはよく言ったものだ。おじいちゃんだけど。


すると渋々といった様子で母さんがでてきて、おばあちゃんは後に罰が悪そうに「ごめんなさいね」と続いた。

…なんでこの二人から今の母さんが育つんだろう。

母さんに生んでもらったとはいえ、似なくてよかったとつくづく思った。

自由そうだけど、友達できなさそうだし。
……聞いたことなかったんだけど、友達…いたのかな…

少し母さんに憐れみを覚えた。


「水月くん。大きくなったわねえ。」

「そうですか?普通くらいですよ、このくらいなら。」

「そうよ。お母さん。こんなのあたしより少し高いくらいじゃない。たいしたことないわよ。
小さいころしか逢ってないからそう思うだけでしょ。」


いちいちカンに障る言い方をする人だと思う。おじいちゃんに怒られて拗ねているのか。


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