本当に人が通るのかと疑問に感じた道を過ぎ、車がとまる。
どうやらこの古くて茶色の大きな家が目的場所らしい。

車内でぶつけた身体をほぐしながら、車から降りる。

あ…ホントに畑とかあるんだ…


テレビでみたような光景が現実としてここにあるのは、不思議な感じで触ったら消えるのかもと思ってしまった。


「水月。早く荷物降ろしておじいちゃん達に挨拶してきなさい。」


母さんはそういうと、見るからに軽そうな荷物ばかりを持って足早に家へと入って言った。

僕はため息をついて荷物を降ろす。たかが二人分、されど二人分。
量もなかなかある。


これを僕で全部運べと?


明日には足腰まわり中心に筋肉痛は確実だ。ひ弱じゃないけど、これは柔道部でも野球部でもキツイんじゃないだろうか。まして僕はどちらでもない。

みていてもいっこうに減るはずもない荷物に、足がはえたらいいのに、どこかの青色猫型ロボットのポケットが欲しい。と切実に願った。