暫く僕は森を見つめたまま動けないでいた。その間に結構時間は経っていたらしく、空はほんのり端のほうから朱色に染まりはじめていて、風も強くなっていた。

田舎は時間が早く動く。
だから今はまだよくとも、すぐに真っ暗闇だ。街灯なんてものは殆ど意味を成さない。


それがここで数日間学んだこと。
毎日が驚きと感嘆の繰り返し。


…………けど………


森は先程より闇を背負って、僕を誘うようにザワリ、ザワリとうごめく。


………なんだろう、あそこには何かがあるのか…?


僕は知らず一歩を踏み出した。
森へと。



「…き…!みづ…きー!!」