石畳に固く小さい足音を響かせながら歩いた。

街はまだ眠っている。

でも、すべてが眠っているわけではない。

駅に着くと、そこは静かに、生活の営みを開始しようとしていた。

僕と同じように始発を待つ労働者が、ホームのベンチに寝そべっていた。

また他の誰かは、かじかむ手で、読みかけの文庫本を広げてホームの黄色い光を頼りにそれを読んでいた。