「ん?何か言った?」
「いんや、何にも!」
葛城君は何かを誤魔化すかのように『あ、そうだ!』と大きな声を出して、私に向かって『ちょっと待ってて!すぐ戻ってくるから!』と早口で言うと、猛ダッシュでどこかへと姿を消した。
私はただただ呆然と彼の後姿を眺めながら何故か“ああ、やっぱりサッカー部のエースなだけあって足、早いなぁ……”なんてわけの解らない事を考えてたりして。
一体何事なんだろう?と首をかしげている間に彼はまた凄い勢いで私の所まで舞い戻ってきた。
「ほら、これ!」
そう言って、少しだけ息を乱しながら彼が私に“ある物”を差し出してくる。
「なぁに、これ」
目の前に差し出されたのは少し大きめの黄色い袋に可愛いリボンが巻かれている紙袋。
これがどうしたのかと思って彼に聞いても彼は嬉しそうに笑って『開けてみてよ!』と言うばかりなので私はその紙袋を彼から受け取ってゆっくりとリボンを外して中身を確認する。
すると中からでてきたのはシャンパン色の、可愛いジョーロで。
「可愛い……!」
「だろ!?」
「うん。これどうしたの?」
「や、この前学校帰りに町でふらふらしてたら見かけてさ。蛍チャンいっつも緑色のだっさい、しかもデカイジョーロだったから水やりしにくいんじゃないかなーって思ってさ」
これからはそれを使って花に水やりなよ、って葛城君は笑ってくれる。
彼が、私の為に選んでくれた。
そんな気遣いが嬉しくて堪らなくて。
「いんや、何にも!」
葛城君は何かを誤魔化すかのように『あ、そうだ!』と大きな声を出して、私に向かって『ちょっと待ってて!すぐ戻ってくるから!』と早口で言うと、猛ダッシュでどこかへと姿を消した。
私はただただ呆然と彼の後姿を眺めながら何故か“ああ、やっぱりサッカー部のエースなだけあって足、早いなぁ……”なんてわけの解らない事を考えてたりして。
一体何事なんだろう?と首をかしげている間に彼はまた凄い勢いで私の所まで舞い戻ってきた。
「ほら、これ!」
そう言って、少しだけ息を乱しながら彼が私に“ある物”を差し出してくる。
「なぁに、これ」
目の前に差し出されたのは少し大きめの黄色い袋に可愛いリボンが巻かれている紙袋。
これがどうしたのかと思って彼に聞いても彼は嬉しそうに笑って『開けてみてよ!』と言うばかりなので私はその紙袋を彼から受け取ってゆっくりとリボンを外して中身を確認する。
すると中からでてきたのはシャンパン色の、可愛いジョーロで。
「可愛い……!」
「だろ!?」
「うん。これどうしたの?」
「や、この前学校帰りに町でふらふらしてたら見かけてさ。蛍チャンいっつも緑色のだっさい、しかもデカイジョーロだったから水やりしにくいんじゃないかなーって思ってさ」
これからはそれを使って花に水やりなよ、って葛城君は笑ってくれる。
彼が、私の為に選んでくれた。
そんな気遣いが嬉しくて堪らなくて。