「変な勘違いはするし、すぐ泣くし、考えてることは訳わかんねえし、正直付き合ってくにはめんどくさいし」
あ、あんまりだ…。
…流石にむっとしてきて、穏やかに笑っているトキをにらむ。
けれどトキはただ目を細めるだけで、気にするふうもなく続けた。
「…だけど、トラウマを抱えている事、独りでずっと悩んで、周りが見えなくなって、好きなものを好きだった気持ちさえ失いかけてることを知った」
だから、とトキは声色を強めて言った。
「気付かせてやりたいと思った。一人じゃないこと、見るべきものが傍にあること。……お前に過去の自分を重ねて、俺が出来る限りのことをしたいと思った。
そしてそのうちに、お前が不器用なりに何時も一生懸命で、馬鹿みたいに正直で真っ直ぐなんだってことを知った。
……そんなお前を見てて、支えてやりたいと思ったんだ。そしてもっとコイツのことを知りたいって」
藍色の瞳が、揺れる。
「だけどその裏で、近づくことに対する怖さもあった」