目を覚ましたトキは、いつものトキだった。
なんてまあ、それが普通、なんだけど。

問題は私のほうで、顔の熱がなかなか引かずに、彼に怪訝な顔をされた。

しかもどうやら勘違いされたようで、熱でもあるのかと、額に掌をあてられて、触れられたことで余計に、顔が熱くなった。


わたわたとひとりで慌てる私を、トキは可笑しそうに笑って。


「変なヤツ」

と呟くように言うと、くしゃりと頭を撫でてきた。
そうされているうち、自然と私の胸も穏やかさを取り戻していった。


時刻は、五時を少しすぎたあたり。


あと一時間は暇だ、とトキは言った。